52. 羊背肉のラグゥ仕立て Côtelettes de mouton en ragoût

羊背肉は切り分けて叩く。小麦粉をまぶし、フライパンで焼く。別鍋に移し、ブイヨンを注ぎ、ケイパーを加えて煮る。しっかり味付けする。
Découpez les, puis les battez et enfarinez, les passez ensuite par la poêle, étant passées mettez les avec bon bouillon et câpres, et le tout bien assaisonné, servez.

55. 仔兎のラグゥ仕立て Lapereaux en ragoût

鶏と同様にフリカセしてもいいし、フライパンで焼いて少量の小麦粉を加えてもいい。鍋に移し、ブイヨンを注いで弱火で煮る。ケイパー、オレンジ果汁またはレモン汁、ブーケガルニまたは香草を加えて味付けする。
別の作り方
仔兎をローストし、切り分ける。これをフライパンで焼き、平鍋に移して弱火で煮る。オレンジ果汁、ケイパー、パン粉少々を加える。ソースはしっかり味付けし、よく煮つめること。
Vous les pouvez fricasser comme poulets, ou les passer par la poêle avec un peu de farine, puis les mettez mitonner avec bon bouillon, et assaisonnez avec câpres, jus d’orange ou citron, et bouquet ou ciboule.
Autre façon
Lorsqu’ils sont rôtis découpez les en pièces, les passez par la poêle et mettez mitonner dans un plat avec jus d’orange, câpres, peu de chapelure de pain: sauce de haut goût et courte, servez.

冒頭をカタカナ混じりで直訳すると「鶏と同様にフリカセしてもいい」となる。フリカセ fricasser という動詞はすでに見たように「油脂を熱した鍋に素材を入れて強火で焼く」ことだ。この場合、ou 以下の「またはライパンで表面を焼き小麦粉少々を加える」とまったく同じ意味である。つまり、この接続詞 ou の用法は「同格」と解釈される。

その一方で、この本には「鶏のフリカセ」Poulez fricassés (直訳すると「フリカセした鶏」)があるので、そちらも気になるところだろう。鶏のフリカセの場合は切り分けた鶏肉をブイヨンで茹でてから強火で焼くというプロセスになっている。肉を下茹でしてから焼くというのは中世ではごく一般的な手順だった。また、とろみ付けに卵黄を用いるとなっており、小麦粉を使うとは書いていない。上の訳はこの解釈による。

「別の作り方」ではローストしてから切り分け、さらにフライパンで焼く手順になっている。おそらく、豚背脂のシートで素材を包んで (バルデ barder) ローストすると解釈するのがいいだろう。実際、火の通り具合をコントロールする目的で豚背脂のシートで素材を包んでローストするのはごく一般的におこなわれていた。

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