p.XX(4)=p.XXI(1)

ゴドゥル版のタイユヴァンに追加された9ページのレシピや、現存するいくつかの献立の記録からは、16世紀初頭の料理が14世紀のものとそっくり同じだったということが分かる。いっぽう、建築や装飾の分野では既にイタリアの影響による変革が始まっていたわけだが、『正しいよろこびと健康について1』という本によって、料理においても大きな影響を受けることになる。著者はバティスタ・プラティナ・ディ・クレモナという筆名で知られる歴史家バルトロメオ・サッキ2。教皇パウロ2世の時、トラブルに巻きこまれてしまったが、その結末は学識豊かではあるけれど血なまぐさい内容の『教皇伝』に記されている。

ヴァチカン図書館長を拝命するバルトロメオ・サッキ

p.XXI(2)

プラティナの『正しい悦びと健康について』は、モンペリエのサン・モリス修道院長デディエ・クリストルによって翻訳、増補された。ルメール・ド・ベルジュ3の散文のように、衒学的ではあるけれど美しいリズムの訳文で、1505年にリヨンのフランソワ・フラダン書店から出版された。これが大成功をおさめ、1602年のピエール・リゴによる再版にいたるまで実に11回版を重ねた。さらに、オリジナルのラテン語版も1530年にジャン・プティ書店、1538年にピエール・ヴィドゥ書店により出版された。

『フランス語版プラティナ』1505年版の1ページ目

『フランス語版プラティナ』の1505年版などはネットで読むことができる。

*『フランス語版プラティナ』(BnF Gallica)
*イタリア語版(1487年)(archive.org)
*1485年刊行のラテン語版
*1498年刊行のラテン語版


  1. ラテン語原題 De honesta Voluputate et Valetudine 

  2. 15世紀イタリアの文筆家(1421〜1481年)。1467年、教皇パウロ2世に反逆したという無実の嫌疑で異端審問にかけられるがその後復権。1478年には教皇シクストゥス4世によってヴァティカン図書館長に任命される。 

  3. 16世紀の詩人、年代記作者。 

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