個人的近況と翻訳協力者募集について

先日、FBにアップした文章ですが、考えてみればあそこはコメント機能をオフに出来ない仕様なんですよね。やっぱり今後は自分のサイトで書いたほうがよさそうです。というわけで、かなりの長文ですが、一部書き直して……


じつはこの数年「うつ」に苦しんでいました(なかなか言い出せずにいました。野菜の取引先の皆様にも伝えられずにいました。まことに申し訳ありません。気持ちの上でどうしても直接お伝えできませんでした。不思議なもので、今から思うと「なんであんなに辛い状態で何年も過していたのだろう?」と思うし、ようやk比較的すんなり状況を語れるようになってきたと自分では思っています)。

この夏に、愛猫が死に至る病(腎不全)になり、どうするかさんざん逡巡し、きちんと最期を受け止めるために思い切って自分も精神科を受診しました。愛猫はまもなく最期を迎えました。14歳。いまどきは20歳を越える長寿の猫もいるそうですが、泌尿器系のトラブルが多い猫だったので、寿命だったのだと思うよう努めています。

僕自身も精神的にかなり辛い状態が続いていましたが、受診したのがよかったのでしょう。抗うつ剤も効いてきて、多少なりも気持ちの整理もつき、少しずつ快方に向かっています。(でも、まだ完全じゃないです)

いくらか元気も出てきたので、ずっと放置していたエスコフィエの Le guide culinaire 新訳に再度、取り組もうと思いはじめました。どうせならまったくのサラの状態からやり直したいと思い、この3日ほどで本文10ページくらい訳しました。

今回は markdown という形式のファイルで原稿を作っています。これを pandoc というプログラムを使って PDF や EPUB、docx 等に変換していくつもりです。

どのようなかたちで公表するかはまだ確定していません。ひょっとしたら紙の本での出版ということになるかも知れないかなぁ……うまく話が進むかなぁ……という状況です。どうしてもダメならクリエイティブコモンズあたりのライセンス条件でネットで公開ですかね……

いずれにしても、現場に立っている料理人さんに協力をいただかなければ、きちんとしたものは出来ないと思っています(感情のもつれなどもあり、雑誌連載時の他のお二人にはお願いしたくありません。そもそもあの連載はとりわけ後半、ほとんど僕ひとりでやっていたようなものなので)。 まずお願いしたいのは内容のチェック(その訳文どおりで実際に料理として)。要するに「作れるか?」の判断(旧訳を見ればかなりの数のレシピが実現不可能なことはわかるでしょう。ところが原書を読んだら出来ないほうがおかしいと思うくらいのものです。要するに訳が間違っていたわけで、あれは本当に酷いです。辻静雄著作集にもかなり厳しい言葉がありますね)。それからあ、現場で使われている用語などとのすりあわせですね。

ここは大事なところです。お願いしたいことは、基本的に日本語のチェックです。でも単なる「校正」じゃありません。訳文が、現代日本あるいは日本語を母語とする人がいる現場に即したもので、しかも正確に翻訳するにはどうすればいいか、というディスカッション(ただしネット上での)込みです(電話とか直接会って呑みながらの議論とかは、全快(正確には寛解)したわけではないので、どうかご勘弁ください。

いわゆる出版が決まっているものなら、高名なシェフにお願いすることも出来ると思いますし、そういうツテもないわけでもないのですが、現状ではそうもいきません。

それでも、日本におけるフランス料理という「消えかかった」火を絶やさぬためにも、いま現場で活躍している料理人さんの協力をお願いしたいと思っています。

「もはやフランス料理なんて古くて話にならない」と言いながら、フランス料理ベースの技法を用いたり、料理構築をする、それはとても素敵なことだけれど、じゃあ「フランス料理」を捨てたのかというとそうじゃない。身に付けたものはそうそう排除できない。で、その古くさい「フランス料理」って何なのさ? と問われたときに出てくるもののなかで、書物でいうならエスコフィエ、ということに異論はないでしょう。(まさかペラプラの青い表紙の本を基礎にするなんて言わないですよね!)で、それが「古臭い」と言うってことは、それを「知ってる」ことにほかならないわけです。知らなきゃ古いも新しいもないでしょう?

で、その「古臭い」代表たるエスコフィエの新訳です。「古臭い」と言うひとのなかで、原書をきちんと読んだのはどれくらいなのでしょう? こう言っては何ですが、旧訳は「翻訳の態をなしていない」とさえ言えるレベルのものなんですよね。だから新訳をやろうか、と。でも現場をよく知る協力者が必要なんです。

いえね、鍋に野菜と肉を入れて「シュエ」するみたいな内容の原文を日本語にするときに、「シュエ」でいいのか、それとも意味を汲んでくだいて説明的に「蓋をして弱火にかけ、素材から出る水分で蒸し煮する」みたいに訳すか、とか結構悩むんですよ。前者だと用語を知らない読者にはわからないし、後者だと「シュエ」という用語を覚える機会がひとつ減るわけです。だから、いま現場でどの程度、フランス語あるいはカタカナ語の用語が、どういう意味で使われているか、具体的に訳文ベースで知りたいわけです。

だって、マッシュルームのトゥルネとアーティチョークのトゥルネ、結果の形状はまったく違うのに同じ用語ですよね。どうして? そのあたりを現場の料理人さんたちはどのくらい理解しているの? あるいはトゥルネなんて知らん! というのだってアリだと思うんですよね。知らなきゃ知らないで困るわけでもないし、売れた者が勝者な業界ですから、そのあたりは「知ってなきゃいけない」なんて言うつもりはないんです。ただ、日本語にしたとき訳文としてどうなのか……そのあたりを知りたいんです。

だいたい、誰がエスコフィエなんて古臭いものを日本語で読むのか、そもそも読者層が想定できないんですけど、そのあたりはまあ置いといて、どっちにしてもあの旧訳は誤訳のアウトレットモールだし、放送大学の動画で宮下志朗先生(ラブレー、モンテーニュなどの訳が有名)がおっしゃっていたように、「翻訳には寿命がある」から、古典を読み継ぐには新訳が必要なんですよね。

僕個人の興味としては、中世〜ルネサンス期の食文化ばかり追い掛けていまして(病気のせいで放置していますが)、『ル・メナジエ・ド・パリ』はもちろんのこと、シカール師とかランスロ・ド・カストーとかシャルル・エティエンヌとかオリヴィエ・ド・セールとか、フランス語版プラティナとラテン語版、イタリア語版との比較検討とかに興味があるんですけど、エスコフィエで3年も雑誌連載をやっちゃったこともありますから、きちんとケジメはつけたいな、と。

長くても1年から1年半くらいでエスコフィエの訳文自体は仕上げたいと思っています。その後、中世〜ルネサンス期の食文化についてまとめたものを書ければいいかなと思っています。

協力をお願いしたい内容は原稿のチェックなんですが、理想を申しあげると、

  1. markdown という形式を使うのでパソコンでテキストエディタ(Atomなど)が使えること、翻訳作業は随時進んでいくので、変更点の確認やディスカッションのできる git というバージョン管理システムに挑戦できる程度にパソコンに慣れていること
  2. 原書をお持ちで、自分なりに読んで現場での仕事に活かしていること、あるいはこれから原書を買って本格的に読んでみようと思う方、です。

ちょっとハードルが高いとは思いますが、(1)のmarakdownの書式はそんなに難しいものではないし、git もGUIで管理できるソフトがあるので、ご自分でブログを運営しているとか帳簿管理を出来るくらいのスキルがあればパソコンについては大丈夫かなと思います。(2)についても「自分なり」でいいです。訳文を作ってくれとは言いません。僕の訳文にケチをつけるとか「いいね」するとかです。

もちろん、翻訳をするにあたって、お手伝いをお願いしたいと思うことは他にもたくさんあります。

そんなわけで、どんなかたちにせよ、協力してやるよ、という方は下のメールフォームからでもご一報ください。出来れば完成までお手伝いいただけると幸いです。

僕に「こんなことも知らんのか!」なんて怒られるんじゃないかという心配はまったくありません。なにしろ長らく、怒るという感情がなくなっちゃっていますから。もう何年、怒っていないのか……笑いは戻ってきつつあるみたいで、WEB小説を斜め読みしていると笑うこともあるんですけど……そういえば、僕がWEBでいわゆるラノベを読んでいることをある編集者さんに伝えたら「戦慄を覚えた」だか「ショックを受けた」だかおっしゃってましたっけ。いや、いま枕頭の書にしているバルザックの「人間喜劇」(喜劇といいながら悲惨な結末の物語が多い)だって、WEB小説だって娯楽として読むぶんには変わらんのですけどね。

話が逸れました。もしご協力いただけるのであれば、プロ、アマ問いませんので、どうぞよろしくお願いします。ちなみに現状では報酬はございません。僕自身まったくの無報酬でやろうというプロジェクトです。

ひょっとして紙の本として出版することになったらどうなるかわかりませんが、どのみち経済的には期待できないと思います。

でも、出版あるいはネット公開の際に協力者としてどこかに明記することはお約束します。それは「訳者あとがき」かも知れませんし「奥付」かも知れません。ネット公開ならもうちょっと別の形態もありそうです。でもそれだけです。もちろん、僕と対抗して訳文をじゃんじゃか出してくれるなら「共訳」のクレジットも可能ですし、そういう人がたくさんならグループ名を作るとか代表者ほか、のクレジットにするとか、いろいろあります。でも、しつこいようですが、いまのところ前提としてロハです。

誰も名乗りをあげてくれないんじゃないかという気もして、「うつ」がひどくなってしまいそうですが、この投稿自体を単なる「チラ裏」みたいなものだと考えることにします。でもどうぞよろしくです。

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※どういったかたちでご協力いただけるか、出来るだけ具体的にお教えください。(必須)

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