『ル・ギード・キュリネール』新訳プロジェクトに Bitbucket を使う理由

翻訳作業の協力を募っていて、手を挙げてくださる方もいるのだが、バージョン管理に用いている Bitbucket と markdown 書式対応エディタ(Atomなど)あたりの問題が、敷居を高くしているんじゃないかと危惧している。

そんなわけで、なぜ翻訳作業に、本来はプログラム開発用のツールである Bitbucket を使っているのか、簡単に説明しておく。メリットは、ファイルに手を加えて「コミット」(=サーバーにあるファイルに対して変更を提案すること、新規にファイルをアップロードすること)すると、それが記録されて、前の状態のファイルと違うところを色違いで表示してくれる。

以下はスクリーンショットなのでちょっと見辛いかも知れないが、

赤い行が「古いファイル」、緑の行が「新しく加えられた変更点」。とりわけ上の方、赤が少し濃いところと、緑が少し濃いところ、ご覧いただけるだろうか。「故ユルバン・デュボワ先生」を「今は亡きユルバン・デュボワ先生」と書き換えた、ということが示されている。

これ、便利でしょう? Github でも同様の機能があるのだが、現状 Github をブラウザで利用すると、markdown書式のうちの「脚注」をきちんと表示してくれない状態。Bitbucket はその点は問題ない。

ページ全体をキャプチャした画像なのでさらに見辛いかも知れないが、本文に小さな番号がところどころにあって、下の方に番号付きで注が表示されているのがわかるだろう。

それから、Bitbucket は最初にユーザー登録するあたりこそ英語だけど、いったんログインしてしまえば基本的に日本語化されている点もいい。Github は全部英語だから。

あと、ファイルに手を加えてそれを Bitbucket に「コミット」するためのソフトとして、Bitbucket の運営元が配布している SourceTree がなかなか使いやすい。きちんと日本語で使える。

というわけで、パソコンがさほど得意ではなくても、しばらくいじっていれば慣れる感じだと思う。これが全部英語だとうんざりしてしまう人も少なくないだろう。

そんな Bitbucket だが、無料プランだとひとつのリポジトリ(プロジェクトというかディレクトリみたいなもの)に対して5人まで、という制限があり、しかも中身はその登録されたメンバーしか見ることが出来ないという特徴がある。Github の方は逆に、無料プランだと基本的にフルオープン。コミットするにはゴニョゴニョする必要があったりするけど、アップロードされているファイルは誰でも見ることが出来る。ただし全部英語表示(日本語を書いて表示させることは出来る)。僕としては、いっそフルオープンなプロジェクトにしたいから、Github に移行してしまいたいのだが、上に書いたように markdown の脚注の表示に不具合があるから、いまのところ見合わせている。それに和訳のプロジェクトなんだから、基本的になんでも日本語表示の方がいいだろうし。

もっとも、markdown を扱うエディタの方は、メニュー等が日本語化されているものも探せば少なくないけれど、僕がお勧めしている Atom は全部英語。markdown 書式を便利に使うには Package なるものをいくつかインストールする必要がある。メニューの Preference から install を選んでおこなう。僕が入れてあるのは Markdown-writer と markdown-preview-plus というパッケージ。

ついでだから Atom で markdown ファイルを編集している画面のキャプチャ。ウインドウだけ選択してキャプチャするのがなんとなく面倒だったので壁紙のリー・モーガンの写真はご愛嬌ということで。ちなみにこれ、ジョン・コルトレーンの録音時の有名な写真。ちょうどエディタのウインドウでコルトレーンが隠れてしまっていて、リー・モーガン、この時の楽器は Martin Committee ガレスピー仕様? 手前に写っているトロンボーンのスライド管はカーティス・フラーの。

僕は普段、Atom ではなく、Emacs というエディタを使っているのでそれのキャプチャも。

この Emacs というエディタ、ものすごく高機能で優秀、慣れればこんなに便利なものはないといいたくなるくらいのものだが、非常にクセが強くて、このエディタの操作に慣れるだけのためにかなりの時間がかかってしまうと思う。僕は十数年来これを使っているからもう手放せなくなっている。逆に言うと、それくらい古くからあるエディタ。初めてという人には絶対お勧めしない。そもそもこの画面の Emacs も、見た目はかなりカスタマイズしてあって、インストールしたままの素の状態はかなりダサい。なんじゃこりゃというくらいダサい。見た目は「テーマ」をインストールしたり、自分でカスタマイズして使うのが一般的なようだ。そのうえ、そのままだと日本語は通らないし、いろいろな設定だってホームディレクトリの .emacs.d/init.el というファイルに、Emacs Lisp という特殊な言語を使って直接書かなきゃならない(Lisp というのは AI を想定して昔々に開発されたプログラム言語で、Emacs Lisp はその「方言」)。使いこなせると格好いいかも知れないけど、労力に対する効果はほとんどないと思う。普通の人は Emacs なんてエディタ、知らないだろうから。