ビーツ クラポディーヌの播種

鶏などを胸からひらいて平らにして仕立てる料理のことではない。野菜としてのビーツのなかで最古の、かつもっともおいしいとといわれる品種。キオッジャなどとくらべると生育期間が1.5〜2倍と時間がかかること、それなりの面積が必要なこと、なかなか思いどおりにできなかったりといった理由でことしは蒔く気がなかったのだが、リクエストがあったので、圃場をやりくりして露地で蒔いてみた。約15メートルを5条。歩留りを考えると、収穫可能なのは100〜150個といったところか。

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ビーツの種子はブレットとそっくり。それもそのはず、おなじ学名 beta bulgaris を持つ、つまりは分類学上おなじ植物の品種ちがいというわけだ。葉と葉柄を利用するブレットと、根を肥大させるビーツに品種が分かれたそうだ。ビーツのフランス語 betterave は bette と rave の合成語だ。bette はブレット、ふだん草のこと。rave は根元が肥大する野菜のことだ1。クラポディーヌという品種は16世紀くらいまで遡れるらしい。

クラポディーヌは根が球形に肥大するわけではない。基本的には円錐形になる。なかなか気難しく、岐根になったりもする。根の表皮ががさがさになるのが正しい姿とされているが、土壌水分の関係などでそうはならないことも多い。ただ、これは Vilmorin というメーカーの種子袋の写真でもあまりがさがさに荒れた表面になっていないようなので、あまり気にすることはない。そもそもこのビーツは味がすべてといっても過言ではない。見た目や揃いのよさといったものはまったく期待できない。

色は濃い赤だが、デトロイトダークレッドほどではないし、キオッジャのようなキャッチーな見た目でもない。ただひたすらおいしさだけを追求することになる。もっとも、露地栽培の場合は水分コントロールができないので、こちらとしては手出しできることはすくない。


  1. 大根、かぶの類。あるいは、céleri rave (根セロリ), chou-rave (コールラビ)など。