ちぢみほうれんそう…甘いというだけじゃもったいないと思うのだが

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寒さが厳しくなり、何度かきつい霜にもあたって、露地栽培のちぢみほうれんそうの糖度も増しただろうと、農協で測定してもらった。ほかの農協のことは知らぬが、ここでは「ちぢみほうれんそう」として出荷するには糖度が既定値以上でなくてはならない。

こんかいの結果は糖度8.2。年内出荷のための基準値はどうにかクリアしている。

ようするに「甘い」のがウリなのだ。ちなみに、いわゆる「フルーツトマト」は糖度8〜10らしい。

ほうれんそうは冬の寒さで糖度が高くなる。葉菜類は多かれ少なかれそういう性質があるが、ほうれんそうはとりわけ甘いものが穫れる。だから、真冬のちぢみほうれんそうが甘いということに異議を唱えるつもりは毛頭ない。

ただ、あまりに甘さばかりが強調されていては、ちぢみほうれんそうの食材としてのポテンシャルを生かしきれないようにも思う。

ちぢみほうれんそうの草姿、ようするに畑にあるときの見た目は、いかにも西洋ほうれんそうのものだ。上の画像はいま栽培している雪美菜(雪印種苗)という品種。たとえば僕が個人的に気に入っている Merlo nero というイタリア品種の画像とくらべるとよく似ているのがわかるだろう。

西洋ほうれんそうのなかには、低温期は葉が凹凸になる品種がいくつかある。ちぢみほうれんそうもこのタイプということだ。

そう、ちぢみほうれんそうは本質的には西洋ほうれんそうだ。それはつまり、西洋料理の食材としてきわめて適性が高いということだ。

その場合、たいせつなのは甘さではない。葉が肉厚で、火を通したときのなめらかな口あたりとゆたかな風味、比較的アクが少ないこと… 下茹でせずに、葉だけをバターでさっとソテしてみるとこの野菜の実力がよくわかる。

ことわっておくが、僕は自分が栽培しているもののことしかわからない。だから、世のすべてのちぢみほうれんそうが下茹で不要と断言することはできない。

いずれにしても、ちぢみほうれんそうは「甘いですよ」と連呼するだけでなく、西洋料理の食材として展開すると面白いと思うのだが、どうやら周囲の理解を得るのは難しそうだ。結局、何もしないままでいるような気もする。