巷ではデザインのトレース疑惑、ありていに言えば盗用が話題になっているようだ。先日、インタビュー(というか実質は対談)で「知識を得るのは(表現者として)自由になるため」ということに触れたが、これとの関係で誤解されやすいことがあるのでちょっと書き記しておく。
「学ぶことはまねること」などという言葉がある。たしかに、外国語学習などを考えればとてもわかりやすいだろう。たとえば録音教材の発音をまねる、すなわち発音の習得につながる。あるいは「習字」。お手本をまねて書くことで字の書き方を学ぶ。
ところで創作においてはオリジナリティがなによりも重視される。というよりも前提である。オリジナリティのない創作物は凡庸と切り捨てられる。丸写し、いわゆるパクリなど論外だ。知的財産権の侵害である。表現者(たとえ自称であっても)が絶対にやってはいけない行為とされる1。
このふたつを合わせてみる。学ぶことがまねることだとすると、オリジナリティが必要な創作においては、学ぶなどという面倒なことはしなくていい、というかしてはいけないように思えるかも知れない。ところが事実は逆だ。オリジナリティを獲得するためにこそ、まねることを含めて学ぶという行為が重要なのだ。