ほぼ毎日パンを焼く。僻地暮しで近くにパン屋がないし、あってもフランスパンのようなハースブレッドで好みにあうのを探すのもなかなか大変だから自分で焼いたほうが早い。ラクで簡単ならなおいい。
そんなわけで、捏ねない・丸めない・成形すらしないパン。ほぼ失敗しないし、いい季節には焼きあがりまで3時間かからない。正味の作業時間は10分強。
カードを使って材料を混ぜ、密閉できるちょうどいいサイズのポリ容器を使うのがポイント。裏返して生地を容器から天板にとり出しそのまま焼くから成形いらず。
できるだけシンプルで毎日でも苦痛じゃないぎりぎりのところを攻めているから、味はそれなり。そもそもリーンなパンのおいしさって焼きあがりのクラスト(外側の皮・殻・クルート)の香りと歯応え、小麦粉の風味、クラムの粘り(モチモチ感とかいわれるやつ)に負うところが大きいから、なにをどうしたってとてもおいしいとかインパクトのある味というのは考えられない。そういうのが食べたければブリオシュやクロワッサンを焼くのがいい。
というわけで目安は毎日食べ飽きない程度においしいこと、土鍋で白飯を炊くていどの手間と気配りでできること。手抜きといってもいい。それでも目標は達成できてると思う。フツーにおいしいなどとよく言うけど、こういうパンを焼いているとフツーつまり中庸ってのは素晴しいことだと実感できる。
材料
- 小麦粉(鳥越製粉 ドヌール)……240g
- 水……180〜200mL
- 塩……2.5g
- ドライイースト(赤サフまたはマウリパン)……2.5g
- モルトエキスパウダー……1g
手順
- 小麦粉と水、ドライイーストを塩、モルトエキスパウダーを投入して粉が見えなくなるまでカードを使って混ぜる
- 20分放置
- パンチ
- 20分放置
- パンチ
- 20分放置
- パンチ
- 80〜100分放置
- 焼成 250℃、10分 220℃、15分
補足
どんな小麦粉を使うかで結果がかなり変わる。捏ねないパン pain sans pétrissage にはタンパク質含有量が多め(ドヌールは13.8%)がいいようだ。灰分が多いほうが香り・風味はいい(ドヌールは0.65%、日清製粉カメリヤは0.37%)。
パンはおなじレシピでも作業環境によって出来が変わる。温度、湿度、オーブン、水の硬度など。技術の問題じゃないから、環境にあわせてレシピ、材料を試行錯誤する。