トマト プリンチペ・ボルゲーゼ

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十数年前にイタリアの知人から譲りうけた種子を自家採種で維持しているもの。「ボルゲーゼ大公」の名のこの品種、南イタリアのピエンノロ(ペンドロ)という吊し干しにも用いられるという。“Pomodorino del Piennolo del Vesuvio DOP” の規定に明記されている品種群のうちのひとつだ (Art. 2)。よく誤解されるようだが、「ピエンノロ」というのは品種名ではない。ナポリ周辺で生産される吊し干しトマトの総称だ。そもそもは夏に収穫したトマトをクリスマスの頃までおいしく食べるための工夫らしい。

Principe Borghese という品種じたいはUSの種苗店などのカタログで見かけることもあるが、どういうわけか「芯止まり」タイプばかりだ。上で引いたDOPの規定では「非芯止まり」となっているから厳密には違うということになるだろう。

画像でもわかるように、僕が栽培しているのは「非芯止まり」。だからこそ面倒でも自家採種している。画像で、赤い紐が結んである株は種とり候補。

もっとも、日本という、南イタリアとはえらく異なった環境で自家採種を続けているわけだから、環境に順化したり、採種株の選抜の偏りがあったりで、もとの形質を完全に維持できているわけではないことは承知している。

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画像左が収穫した Principe Borghese。右は Super Marzano。

このトマト、吊し干しにされるくらいだから、ドライ、セミドライへの適性が高い。そもそもアミノ酸が強い品種だが、水分を減らすことでいっそう凝縮される。房室(種子とゼリーの入っている穴のようなもの)が2つだけだから、縦割りでも形状をよく観察して切ればすべてのゼリーを取り出すことができる。

残念ながら、日本の気候では吊し干しは難しいようだ。また、夏秋どりの作型では房どりできる率が低い。

皮がとても丈夫だから(吊し干しにする所以だろう)、中を刳り貫いて詰め物をするにもいい。

もちろん、フレッシュなものを適当にカットしてパスタソースなどにしても美味だ。皮が丈夫と書いたが、個人的には皮つきのまま調理してもまったく気にならない。

ずっと以前に、おなじような内容をブログで書いて、炎上というほどではないがまことに不快な経験をしたことがある。利害のある関係者がそれなりにいるということだろうが、僕としてはこのトマトでビジネス的な展開を目論んでいるわけではないから、この投稿は読み流す程度にしていただきたい。

なにしろ、細々と自家採種しているもので、種子を余所にお頒けするつもりはないし、収穫したトマトは産直のセットにも時折入れる程度で、基本的には自家用にすぎない。個人的な愉しみなのでそっとしておいていただきたい。