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パリの印刷業者ピエール・ゴドゥルが「王家、大公家、その他のお屋敷の用に供するもの」として刊行したタイユヴァンの再版(出版年記載なし)の紙片G4裏面に「こんにちまでタイユヴァンの本に収められていなかったポタージュのレシピを多数追加」とある。ゴドゥルがパリで印刷業を営んでいたのは1514年から1534年までのことである。9ページにわたって新たな追加分のレシピを書いた料理人は、シャルル5世付きの大料理長1に負けず劣らず香辛料を好んで使っている。レシピはひどく衒学的でリムーザンの学生2を思い起こさせる文体で書かれている。しばしば「食材が何だかわからないよう加工」する。また、鱒の卵が「えんどう豆の味とよく似ている」と断言したりもする。「ヴェルシューズという名称のポタージュ」はやたらと香り付けしたクレーム・キュイットである。しかし、この追加されたレシピでも、アピキウス同様に、ぶどう果汁と火を通したワインを料理に用いていることに注意しておきたい。