ちょうどいまセットに入れている野菜をつかう料理なので記しておく。Sou-Fassum は現代の標準フランス語の感覚だと「スーファソム」と読みたくなるが、プロヴァンス語なので、「スーファスム」あるいは「スーファスン」となるようだ。以下にエスコフィエのレシピをざっと訳出しておく。
ちりめんキャベツは、シューファルシをつくるときと同様に下茹でして冷水にさらす。外側の大きな葉は外して網の上に並べておく。以下の材料を混ぜたものを、これらの葉にのせる。
キャベツの内側の葉を刻んで味付けしたもの。ブレットの葉250g(下茹でしておく)。シェール・ア・ソシス750g。塩漬け豚ばら肉200g(さいの目に切ってこんがり炒めておく)。玉ねぎ1個(みじん切りにしてバターで色よく炒めておく)。トマト2個(刻んでおく)。にんにく1片(つぶしておく)。米100g(下茹でしておく)。季節ならフレッシュなプチポワ125g。
網の端を持って、キャベツの形になるように包む。これを羊のブイヨンあるいは普通のブイヨンの中に入れ、弱火で3時間半から4時間加熱する。(Auguste Escoffier, Le guide culinaire, pp.743-744)
ここでは横着して「シェール・ア・ソシス」とカタカナ書きしたが、赤身肉と豚の脂身を細挽きにして塩こしょう、ハーブなどで味付けしたもののこと。なんとなく「ソーセージ用ファルス」だと落ち着かない気がしただけなので、それでわかるなら問題なかろう。
モンタニェの『ラルース・ガストロノミーク』初版(1938年)には「ニース料理」とある。つくりかたはエスコフィエとほぼおなじだ。グラースあたりでは同様のものを Lou Fassum と呼ぶらしい。これについてはフランス語版Wikipediaにページがある。
いずれにしても、詰め物(ファルス)にブレットとトマト、米を加えるのは共通で、このあたりにプロヴァンスらしらが出ているように思う。
こんにちでは大きな丸いシューファルシをつくる機会はそうそうないかも知れぬ。もちろんロールキャベツのごとく包んでもいいだろうし、バロティーヌのようにある程度大きな円筒形につくったものを輪切りにして供するのも面白いだろう。