2024/05/11 追記 『フランス語レシピで自宅フレンチ 1 料理フランス語文法読本』を Apple Books と Google Play Books から2024年5月11日にリリースしました。この記事とあわせてご利用ください。
書籍でも雑誌連載でもWEBサイトでもいいのだが、まったくの初心者がフランス語で書かれたレシピをすらすら読めるようになるという目的に特化した教材はあまり見当らないようだ。「ありそうでない」といったところか。
じつのところ、そういう需要があるのかどうか僕にはわからない。それに、こういう仕事は大学や調理師学校の教師がすべきことだと思う。ただ、さいきん、料理人がフランス語を学ぶということについて雑誌の特集記事のお手伝いをした関係上、いくばくかは道義的責任もあるような気がする1ので書いておくことにする。
フランス語の初級文法をぜんぶマスターしなくても、たいていのレシピに書かれていることを過不足なく、できるだけ正確に読みとれるようになれる。じっさい、フランスで出版されている外国人むけフランス語教材だと比較的はじめのほうで題材としてレシピがしばしば取り上げられている。
だから、フランス語のレシピを読めるようになるために習得すべきことはさして多くはないし、さほど難しいものでもない。
はじめに必要なスキル
とはいえ、どれほどポイントを絞って効率的に学ぶことが可能だとしても、それなりの前提条件はある。
ひとつは紙に印刷された辞書が引けるということ。フランス語はABCのアルファベットで書かれているから、辞書もアルファベット順に編集されている。目的の語にアクセスするためにいちいち、「ABCDEFG…」などと頭の中でアルファベットを追うようでは、すぐにうんざりしてしまう。
もうひとつは、名詞、形容詞、動詞、前置詞といった文法的概念を理解していること。
さいごに、多少なりとも料理ができること。どんなにフランス語の文法を学んだって、包丁の持ちかたすら知らなければ、レシピを理解して実際に料理することなど不可能だからだ。
はじめに用意すべきもの
- 仏和辞典…『プチロワイヤル』『ディコ』『プログレッシブ』『クラウン』どれでもいいが、かならず新しいもの
- 料理用語辞典…これもかならず新しいものを用意すること
ためしにひとつレシピを見てみる
くだくだ前置きをしてもしょうがないので、ひとつ読んでみよう。まず、このリンク先にアクセスしてみよう。ククパみたいなサイトの「ほうれんそうとスモークサーモンのキッシュ」のページだ。スマートフォンでもストレスなく見られると思う。
重要な部分を抜き出して引用しておく。
Ingrédients / pour 4 personnes
- 1 pâte brisée
- 3 oeufs
- 10 cl de crème fraîche épaisse
- 350 g d’épinards
- 80 à 100 g de saumon fumé
- 100 g ou plus de fromage râpé (type gruyère)
- 2 cuillères à soupe de beurre
- sel et poivre
PRÉPARATION
- Préchauffer le four à 200°c. Dans un plat à tarte, mettre la pâte.
- Couper le saumon fumé en petits morceaux.
- Laver les épinards, puis faire les cuire avec le beurre. Les refroidir et les égoutter puis les hacher grossièrement.
- Dans un saladier, mélanger les oeufs, la crème fraîche et le fromage. Ajouter les épinards. Saler et poivrer.
- Verser le saumon fumé sur la pâte, puis la préparation, tout doucement.
Pour finir
Laisser cuire au four pendant 35 à 45 minutes selon le four.
このレシピを教材に、読み方の解説を書こうと思うのだが、すでに長くなってしまったので次回にまわすことにする。とりあえず辞書は引かずに、なんとなく意味を想像できそうな語がないか探してみよう。
まったくの初心者がフランス語で書かれたレシピをすらすら読めるようになる連載(1)名詞と形容詞につづく
あわせてお読みください
- レトリックなので字句通りにとってはいけない。雑誌記事の取材協力くらいでそんなものがいちいち発生していたらたまったものではない。ましてや、どんな場合であっても、無償でフランス語を教える義務などあり得ぬ。勘違いした図々しい馬鹿者が涌いてでてくると困るので釘をさしておく。 ↩