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カテゴリー: 野菜畑
エルバステッラ
- イタリア語名 erba stella
- フランス語名 plantain corne-de-cerf
- 英語名 buck’s-horn
葉の形状の面白さが特徴。イタリア語名は星の草、英語名とフランス語名は鹿の角の意。健康食品や漢方薬原料としてしられるオオバコの一種。生食可。いかにも野草のような風味と食感なので大量にサラダ野菜として用いるには適さない。かつてはおもしろ野菜のひとつとして注目された。野趣あふれる味わいはむしろ貴重。飾りとして肉料理などに添えるのが一般的だが、見た目がとてもいいのでアクセントとして際立つ。そのほかフリッタータにも。
(© 2023 Manabu GOTO)
ルーコラ・セルヴァティカ(5〜10月末)
- イタリア語名 rucola selvatica
- フランス語名 roquette sauvage
- 学名 Diplotaxis tenuifolia
- 和名ロボウガラシ
- 日本の青果業界での通称セルバチコ
いわゆるルーコラ(ルッコラ、ロケット、学名 eruca vesicaria)とは別種。強い風味が特徴。しばしばごまにたとえられる香りは辛子、大根などのアブラナ科によく見られる揮発性物質によるものなので加熱するとすぐに失われる。ある程度以上の量を摂取するには、若い葉を香り付け用に少量別に取り置き、全体は加熱調理するといい。花も葉と同様に香り高く美味しい。肉料理の付け合せとしてあしらい的に用いるほか、トマトとアンチョヴィ風味のパスタソース、ピザのトッピングなどに。(©2023 Manabu GOTO)
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トマト プリンチペ・ボルゲーゼ
十数年前にイタリアの知人から譲りうけた種子を自家採種で維持しているもの。「ボルゲーゼ大公」の名のこの品種、南イタリアのピエンノロ(ペンドロ)という吊し干しにも用いられるという。“Pomodorino del Piennolo del Vesuvio DOP” の規定に明記されている品種群のうちのひとつだ (Art. 2)。よく誤解されるようだが、「ピエンノロ」というのは品種名ではない。ナポリ周辺で生産される吊し干しトマトの総称だ。そもそもは夏に収穫したトマトをクリスマスの頃までおいしく食べるための工夫らしい。
Principe Borghese という品種じたいはUSの種苗店などのカタログで見かけることもあるが、どういうわけか「芯止まり」タイプが多いようだ。上で引いたDOPの規定では「非芯止まり」となっているから芯止まりタイプだと厳密には違うということになるだろう。
画像でもわかるように、僕が栽培しているのは「非芯止まり」。だからこそ面倒でも自家採種している。画像で、赤い紐が結んである株は種とり候補。
もっとも、日本という、南イタリアとはえらく異なった環境で自家採種を続けているわけだから、環境に順化したり、採種株の選抜の偏りがあったりで、もとの形質を完全に維持できているわけではないことは承知している。
画像左が収穫した Principe Borghese。右は Super Marzano。
このトマト、吊し干しにされるくらいだから、ドライ、セミドライへの適性が高い。そもそもアミノ酸が強い品種だが、水分を減らすことでいっそう凝縮される。房室(種子とゼリーの入っている穴のようなもの)が2つだけだから、縦割りでも形状をよく観察して切ればすべてのゼリーを取り出すことができる。
残念ながら、日本の気候では吊し干しは難しいようだ。また、夏秋どりの作型では房どりできる率が低い。
皮がとても丈夫だから(吊し干しにする所以だろう)、中を刳り貫いて詰め物をするにもいい。
もちろん、フレッシュなものを適当にカットしてパスタソースなどにしても美味だ。皮が丈夫と書いたが、個人的には皮つきのまま調理してもまったく気にならない。
ずっと以前に、おなじような内容をブログで書いて、炎上というほどではないがまことに不快な経験をしたことがある。利害のある関係者がそれなりにいるということだろうが、僕としてはこのトマトでビジネス的な展開を目論んでいるわけではないから、この投稿は読み流す程度にしていただきたい。
なにしろ、細々と自家採種しているもので、種子を余所にお頒けするつもりはないし、収穫したトマトは産直のセットにも時折入れる程度で、基本的には自家用にすぎない。個人的な愉しみなのでそっとしておいていただきたい。
サヴォイキャベツやカーヴォロ・ネーロの火入れ時間を短かくするには
chou vert ©︎2023 lespoucesverts Manabu GOTO 小ネタ、というか Tips である。
サヴォイもカーヴォロ・ネーロもなかなか柔らかく火が通らない野菜だ。サヴォイは最低2〜3時間、カーヴォロ・ネーロはその1.5〜2倍の時間をかける必要があると答えることにしている。もっとも普段、尋ねられなければいちいちそんなことは言っていない。
昔からある話題なのだ。高度成長期に西洋野菜の普及に尽力した大木健二の著書にもサヴォイの話が出てくる。
得意先のレストランのシェフに「おやじさん、二時間も煮込んだのに味が染みこまないよ」と、噛み付かれました。長時間煮込まないとダメと言っておいたのに、向こうも料理人としての意地があるものだから、我流を通したのでしょう。この野菜を煮込むにはタップリ四時間。普通のキャベツならとろとろになってしまう時間でも煮崩れしません。(大木健二『大木健二の葉菜ものがたり』日本デシマル、p.84)
だが、ガルビュールやリボッリータを毎日延々と煮込んでいるならともかく、忙しい調理現場ではそんな悠長なことは言っていられぬかも知れない。
解決方法は存外簡単だ。基本的にはふたつある。
- 圧力鍋を使う
- 厳寒期の露地栽培で、強い霜に何度もあたったものを使う
ひとつめ。圧力鍋などない! という調理現場もあるだろう。が、なによりも、調理方法が限定されてしまうという欠点がある。
ふたつめ。時期がとても限られてしまうのが問題なのと、霜によってダメージをうけているからあまり見た目がよろしくなくなっていることもある。そうなると、検品をする者に知識がなければ納品時にはねられてしまうかも知れない。
というわけで、第3の方法
- いったん冷凍してから調理する
上のふたつめの状況を人工的に作りだせばいいのだ。ただ、どの程度冷凍すればいいのかは品種や冷凍庫の能力(仕様?)によって異なるから試行錯誤は必要だろう。
水は凍ると体積が増える、つまり膨張する。植物の細胞は細胞壁という殻のようなもので覆われている。中の水分が凍って固体として膨張すればタイヤのパンクのようなことになる。細胞壁に傷をつけるわけだ。そうすると火の通りが早くなる。
注意したいのは、凍って膨張した水分が解凍後、細胞壁の傷を通って流れ出てしまいやすくなるということ。いわゆるドリップとおなじことが起こる。野菜の場合は目に見えて水分が流れるケースは少ないからわかりにくいかも知れぬ。もちろん程度問題なのだが、極端な場合はスポンジ状になってしまい、すかすかでちっともおいしくないものになりかねない。だから、どの程度凍らせたらいいかは何度か実験したほうがいいだろう。
僕は使ったことがないのでわからぬが、ショックフリーザーならこのあたりの問題はコントロールしやすいような気がする。
cavolo nero ©︎2023 lespoucesverts Manabu GOTO ©︎2016, 2023 Manabu GOTO
濃緑がそんなにいいのか?
ほうれんそうやパセリが代表的だが、とかく濃緑が好まれる葉菜類は少なくない。そのほうがマーケットで評価され、高く売れるからだという。
種苗会社のカタログなどには「緑が濃い!」という文字がいたるところに踊り、生産者は濃緑に仕上がるように栽培をする。
濃緑を好むというのは心情的には理解できなくもない。ただ、サヴォイキャベツについて、玉の内部まで濃緑なのが欲しいなどと言われたときには呆れた。それも一度じゃない。流通や料理のプロから何度かそう言われたことがある。
サヴォイキャベツは結球野菜だ。結球野菜というのは、玉の内側の葉が日光に当たらないことによって自然に軟白されるのが特徴だ。光合成はもっぱら外葉がおこなっている。すべての葉が濃い緑色であることを期待するなら、結球野菜はそれに応えることができない。そんなに緑がよければサヴォイじゃなくてカーヴォロネーロを使えばいいじゃないか。
ブレットの写真。上は Blette blonde à carde blanche de Lyon というタイプ。ブロンドというだけに葉色はかなり薄い。下は一般的な Blette verte à carde blanche。こちらのほうが緑は圧倒的に濃くなる。僕はリヨンタイプのほうが好きなのだが、手持ちの種子は緑のほうが古く、そちらを先に使うことにしたので、今シーズンはいまのところリヨンタイプは蒔いていない。