カテゴリー: 野菜畑

  • グリークバジル

    グリークバジル
    グリークバジル
    • フランス語名 basilic grec
    • イタリア語名 basilico greco, basilico fino a palla
    • 英語名 greek basil
    • 学名 Ocimum basilicum
    • 日本での別名 バジリコナーノ ブッシュバジル

    スイートバジルと比べて一枚一枚の葉がとても小さく、香りもさわやかなバジルです。

    ※バジルは急激な温度変化に弱いので基本的には涼しい場所で常温保存してください。どうしても冷蔵保存する必要がある場合には新聞紙などでくるんで冷気の弱い場所を選んで保管してください。

    ※比較的容易に鉢植え、プランター栽培できます。トキタ種苗「バジリコナーノ」の商品名で小袋の種子が市販されています。

  • アリコブール

    アリコブール
    アリコブール
    • フランス語名 haricots beurre
    • 英語名 yellow wax beans
    • 学名 Phaseolus vulgaris
    • 日本での別名 アリコブール、バターいんげん、黄色いんげん

    さやいんげんのうち、薄い黄色に仕上がる品種です。細くて柔らかいうちに収穫可能な品種 Minidor を使っています。

    基本的な使い方は緑色のアリコヴェール haricots verts と同様です。さやの上下をハサミ等で切り落としてから柔らかく下茹でしたのちに調理します。日本で一般的なさやいんげんと比べ、柔らかくて甘みがあり、とても美味です。皿に盛り付けたときの見栄えもいいです。

    アリコブールの花
    アリコブールの花
    アリコブールのさやははじめ緑色
    アリコブールのさやははじめ緑色

    ©︎2023 lespoucesverts Manabu GOTO

  • ルーコラ・セルヴァティカのスパゲッティ(お手軽バージョン)

    spaghetti con rucola selvatica

    ルーコラ・セルヴァティカのスパゲッティ(画像は2人分)

    野菜農家の直売アイテムとしてひっそり定着した感もあるルーコラ・セルヴァティカ。ごまを思わせる強烈な香りと独特な風味で知られ、サラダや皿の『あしらい』的に使われることも多いようだ。

    ただ、強い香りと風味は刺激になるからあんまり大量には食べられないのが難点。ビタミン豊富な葉野菜だからたっぷり食べたいところ。

    この野菜のポイントは

    • 加熱すると香りと風味が瞬間的に失われる
    • 抽苔茎(花がつく茎)は固くて食べられたもんじゃない
    • 黄色い花はルーコラらしい風味があって美味(1人分)

    1人分の材料

    •  ルーコラ・セルヴァティカ 50g
    • トマトソース
    • スパゲッティ 70〜100g
    • 塩、こしょう

    作りかた

    1.  ルーコラ・セルヴァティカは水でよく洗う。柔らかい小さな葉は別に取り置く(ポイント!)のこりは2cmくらいの長さに刻む
    2.  パスタを茹でる。トマトソース (グーグル検索)をつくる。
    3.  スパゲッティが茹で上がる30秒前に刻んだルーコラを鍋に投入。パスタの茹で上がりは固めにするといい。
    4. スパゲッティとルーコラをザルにあけ、トマトソースのフライパンに投入。よくあえる。
    5. 生の柔らかいルーコラの葉をトッピング(大事なポイント!)

     

    ※ようするにスパゲッティ・トマトソースにルーコラを加えただけ。レトルトのトマトソースを使ってもいいが仕上がりはそれなりだろう。逆に言うと美味しくつくるには手際とセンスのよさがとても大事。

    ※トマトソースは一人あたりトマト水煮缶50g+にんにく ¼片(スペイン産)+とうがらし(カイエンヌにかぎる)¼+オリーブオイル+塩、こしょうでつくった分量が目安。不思議なことに、トマトが主材料にもかかわらずにんにくととうがらしで決まる。

    ルーコラ・セルヴァティカ
  • エルバステッラのフリッタータ

    frittata con erba stella minutina

    どうしていいのかわからない、皿の飾りにしかならないという声もちらほら耳にするエルバステッラ。もとはイタリアのものだから、プロとはいえフランス料理が専門だといたし方ないのはしょうがないのだろう。

    だがイタリア料理はフランス料理の近接領域。いまやルーコラ・セルヴァティカがあたりまえにフランス料理で用いられているのだし、エスコフィエ『料理の手引き』ではパスタとリゾットに相応のページを割き(原書で計8ページ)、ダンバルにフォンセ生地ではなくマカロニを使ったり、イタリア料理由来のレシピを数多く収録されてるくらいだ。

    エルバステッラは日本の種苗会社が小袋の種子を販売してるからそこそこ日本でも知られるようになったかと思いきやあいかわらずまったく無名の様子。甘くておいしいといったたぐいのものじゃないから葉菜としてメインストリームにはのれそうにないけど、独特の歯ごたえと風味を愉しむ、いってみれば余裕のある都市生活者だからこそ田園や田舎に惹かれるような、魅力ある野菜として認知されることが願われる。漢方薬や健康食品の原料として用いられるオオバコの一種だからそういうイメージを付加することももちろん可能だろう(個人的にあまり好きな手法ではないが)。

    さて、美味しく食べる方法だ。若くて新鮮な葉はそのまま生でサラダのいいアクセントになるが、ポイントをおさえれば簡単に前菜1皿仕上がる。以下はその一例。ちょっとやそっとの加熱でエルバステッラ独特の歯ごたえが失われることはないので、多少雑にやっても大丈夫。

    (2〜4人分)
    * エルバステッラ 50g
    * 全卵 4
    * 塩、こしょう 適量
    * 粉チーズ 適量
    * オリーブオイル 適量

    1. エルバステッラはよく水洗いして、沸騰した塩湯で下茹でする(塩1%)。再沸騰したら取り出してザルにあける。
    2. 冷めたら適当な長さに切る(1cmくらい)
    3. 卵を解きほぐし(できたら網で漉す)、エスバステッラ、塩、こしょう、粉チーズを加えてよく混ぜる。
    4. フライパンにオリーブオイルを引いて卵液を流し入れる。
    5. 蓋をしてごく弱火で加熱する(オーブンに入れるといい)。オーブンを使わない場合は適当なタイミングで裏返して蓋をし、ふんわり火を入れる。

    ※ポイントは下茹で。手抜き料理とはいえこれだけは絶対に省略しないこと。
    ※キッシュのアパレイユのように、卵液に生クリームなどを加えてもいい。
    ※いまどきの「甘くておいしい」ような葉野菜ではないのでそういうのを期待するひとにはおすすめできない。独特の歯ごたえと野趣あふれる風味、つまりいまどきの葉野菜にない「草」な感じを楽しんいただきたい。(©2023 Manabu GOTO)

    エルバステッラのフリッタータ©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    エルバステッラのフリッタータ©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    エルバステッラのフリッタータ©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    エルバステッラのフリッタータ©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    エルバステッラのフリッタータ©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    エルバステッラのフリッタータ©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    エルバステッラのフリッタータ©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    エルバステッラのフリッタータ©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
  • 野菜つくりのこだわり

    大切にしているのは手段を目的化しないということ。有機でも減農薬、無農薬でも本質的には手段あるいはその手段によってもたらされる結果に過ぎないと考えています。近代有機農法の創始者とされるイギリスのアルバート・ハワードは著書『農業聖典』An agricultural testament (1940)において、赴任先インドでの農業生産力向上に取り組み、その過程で堆肥を積極的に使用することで生産高が上がるから窒素肥料など不要でしかも病虫害にも強い作物を栽培できると記しています。「有機」はあくまでも生産性向上のための手段のひとつだったわけです。ところが現代では「有機」であることそれ自体がまるで目的になっているかのような状況が多々あります。

    僕の野菜つくりの目標、目的はフランス料理、イタリア料理の文脈に沿った、プロの調理技術に応えられる食材としてのおいしい野菜です。有機、無農薬、減農薬、自然農法などを目的にはしません。

    西洋料理のためのおいしい野菜を実現することを目標に、いろいろこだわっています。

     

    1.野菜品種にこだわる

    野菜の品種による違いは一般に思われている以上に大きいです。ヨーロッパの固定種中心、ただしF1は否定しないという方針で栽培品種を選定しています。ゆっくり生育させたほうがおいしくてクオリティの高い野菜ができるので、早生品種よりは晩生品種が中心です(つまり栽培に時間がかかります)。

    2.栽培方法にこだわる

    雨よけハウス……季節を乾季、雨季でいうならフランスなどは夏に乾季、冬に雨季です。つまり日本と逆です。高温期に雨の多い日本でフランスとおなじように野菜をつくることはできません。見た目はどうにかなっても味、香りの面でクオリティが落ちてしまいます。このため、水分コントロールしやすい雨よけハウス栽培を基本としています。無加温のポリハウスなのでフランス語だとgrand tunnel(大トンネル)と呼ばれるものに相当します。

    肥料……科学的に立証されてはいないと思いますが、化学肥料とりわけ窒素などの単肥は微量成分とのバランスを崩し、味に影響をおよぼす気がしています(あくまで個人の主観です)。だから施肥は鶏ふん、油かすなどの有機質肥料と苦土石灰です。いわゆる化学肥料は使いません。

    病害虫防除(農薬)……有機リン系およびピレスロイド殺虫剤は使用しません。単純に、僕自身がこれらの農薬の臭いが嫌いだし、気分が悪くなるからです。使用する農薬はもっぱらBT、スピノサド、ボルドー(いずれも有機JAS許容農薬)。どんな場合でも農薬取締法を遵守しています。

    3.収穫タイミングと鮮度にこだわる

    品目、品種、季節によって違いますが、野菜の美味しい収穫適期はとても短いです。また、ほとんどの野菜は収穫したてがおいしいです。収穫後日数が経てばそれだけ美味しさは失われます。ぼくのつくっている野菜で言えばフレーズデボワフレーズデボワエストラゴン、プティポワ(2023年は栽培なし)など代表的です。これらはきちんと冷蔵していても収穫後3・4日が限度と考え、到着後3日をめどに使い切るようご案内しています。また、レストランむけ定期便の場合は週2回のお届けをお勧めしています。

    4.知識にこだわる

    最大のこだわりポイントです。上の1〜3の内容は突き詰めればすべて「知識」です。15年以上にわたる野菜つくりの経験や試行錯誤で得た知識、フランス語の農業書や園芸の本などを手あたり次第に読んで学んだ知識です。もちろん料理の知識も大切にしています。どんな調理によってどのような味わいの料理になるかを知らずに食材を作ることはできません。各取引先のシェフにどんな品目を使いたいか、野菜の出来はどうだったか、どんな料理にしたのか、食べ手の反応はどうだったかなどを聞き、「協同」して野菜をつくっています。

  • 2023はミニポワローをつくる!

    上の画像はポワローの幼苗「2023年5月20日)。今シーズンはミニポワローの栽培を再開しようと思う。

    下の画像2つは2011年晩秋のもの。もう12年も前。調製後の仕上がりサイズが太さ10mm、軟白部の長さ20cm、端を切り落とした全長25cm。雑誌「料理通信」が当時やっていた食材コンテストで入選したプレミア野菜。輸入品をはるかに凌ぐハイクオリティから築地市場(当時)でも高く評価された。

    輸入品とはまったく異なる栽培方法を開発。機械化できない作業体系のためとにかく高コストで食材としては画期的だけど商品としてはダメダメ。最短でも育苗2ヶ月、本圃3ヶ月、合計で半年近くかかるので栽培管理の負担が大きい。しかも当時はミニポワローの価値をわかってくれる料理人も食べ手もあまり多くないうえに悪くいう評論家とか料理人がいたために心が折れてほとんど作らなくなってしまった不遇の野菜。

    でも、僕のつくってきた野菜の最高傑作だから再開します。

  • オゼイユ 

    • フランス語名 oseille
    • 英語名 sorrel
    • 学名 Rumex acetosa
    • 和名 スイバ スカンポ

    酸味が特徴。レテュ(レタス)とともに細かく刻んでバターで炒め、ポタージュ(スープ)に浮き実(ガルニチュール)として加える(シフォナード)ほか、とても多くの料理で用いられる。(おもに5〜11月)

    エスコフィエ『料理の手引き』のレシピ

    • シフォナード
    • ポタージュ・ジュリエンヌ
    • コンソメ・プランタニエ
    • コンソメ・ヴェルマンドワーズ
    • ピュレ・コンピエーニュ
    • 香草のピュレ
    • ピュレ・マリアンヌ
    • クレーム・コンテス
    • ポティロンのピュレ・マレシェール
    • 大麦のクレーム
    • オゼイユのクレーム
    • ポタージュ・アンバサドゥール
    • ポタージュ・フォンタンジュ
    • ポタージュ・ナルボンヌ風
    • 生クリーム入りオゼイユとヴァーミセリのポタージュ・ピュレ
    • 生クリーム入りオゼイユとタピオカのポタージュ・ピュレ
    • スープ・フランシュコンテ風
    • スープ・グランメール
    • スープ・ジャネット
    • ポワローとじゃがいものスープ・マレシェール
    • ポタージュ・バトゥヴィニア
    • リトアニア風ポタージュ
    • クロスキ入りリヴォニア風ポタージュ
    • ウ・シヴリ
    • ウ・マレシェール
    • オムレツ・マリージャンヌ
    • オゼイユ入りオムレツ
    • アローズ・グリル焼き・オゼイユ添え
    • アンギーユのフリット
    • アンギーユ・ヴェール
    • ブロシェのグルナダン・オゼイユ添え
    • まぐろに合わせるガルニチュール
    • 牛舌肉に合わせるガルニチュール
    • 仔牛ノワのブレゼと合うガルニチュール
    • 仔牛エスカロップに合わせるガルニチュール
    • リドヴォーに合わせるガルニチュール
    • 仔牛テティーヌ
    • 仔牛のポピエットに合わせるガルニチュール
    • グルナダンに合わせるガルニチュール
    • オゼイユのブレゼ(野菜料理)

    そのほか

  • エストラゴン

    • フランス語名 estragon
    • 英語名 french tarragon
    • 学名 Artemisia dracunculus

    フランス料理に欠かせない香草。あまりにも用途が多いのでエスコフィエ『料理の手引き』電子書籍版 新訳 オーギュスト・エスコフィエ『料理の手引き』からレシピを列挙しきれない。内部検索結果の一部を画像で掲げておく。保存すると香りが失われやすいので収穫したてのものをできるだけ早く使うのがポイント。種子が販売されているのはロシアンタラゴンで料理には用いられない。株分けか挿し芽で増やす。5〜11月。

    (© 2023 Manabu GOTO)

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  • Navet Purple top white globe の発芽

    アメリカの種屋から買った種子なので品種名は英語。フランス語だと navet rond blanc à collet violet 。ようするに蕪なんだけど調理特性とか味わいが日本で主流の金町小かぶ系統とはまったく違う。ナヴェが収穫できるようになったらまた書くことにしよう。

  • ブレット

    ブレット20230603

    • フランス語名 blette, bette, poirée etc.
    • イタリア語名 bieta, bietola, costa ecc.
    • 英語名 swiss chard
    • 学名 beta vulgaris
    • 和名 フダンソウ

    異名がとても多い伝統野菜。根菜のビーツは品種が異なるだけで分類上おなじ野菜。1516世紀頃に根を利用するビーツと葉を利用するブレットに品種分化したと考えられている。ヨーロッパでは葉柄(軸)が白く幅広になる品種がよく用いられ

     

    る。葉柄が赤、黄色、オレンジになる品種もある。

    葉と葉柄を別にして下処理するといい。葉柄はたっぷりの湯またはブラン(エスコフィエ参照)で柔らかくなるまで弱火でじっくりブランシール(下茹で)する。この時点でしっかり火を通しておかないと台なしになる。空気に触れると黒っぽく変色する場合があるので注意。油脂ととても相性がいいので、肉料理などの付け合せにする場合は下茹でしたものをグースファットやケンネ脂でソテーするといい。葉はほうれんそうとまったく同じ要領でいい。(ほぼ周年栽培可能)

    エスコフィエ『料理の手引き』

    • スープ・ドフィノワーズ

    そのほか

    (© 2023 Manabu GOTO)

     

    ブレット