カテゴリー: 野菜畑

  • カーヴォロネーロのラザーニェ

    Lasagne con cavolo nero al forno

    Lasagne con cavolo nero al forno@2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    Lasagne con cavolo nero al forno@2023 lespoucesverts Manabu GOTO

    アブラナ科葉菜とベシャメルソースの相性は抜群! 肉をまったく使わないのに食べ応えのある満足レシピです。エミリアロマーニャの郷土料理として知られるラザーニェのオーブン焼き Lasagne al forno の材料をギリギリまでシンプルにしました。上級者向け。

    材料 Ingrédients

    (2〜4人分)

    • ラザーニェ(パン用小麦粉 鳥越製粉ドヌール……200g 全卵50〜55g……2個、塩少量)
    • カーヴォロネーロ……10〜15枚(中肋を取り除き葉だけを小さめのペイザンヌ=1cm程度の四角形またはごく粗いみじん切りにする)
    • 加熱調理用トマト サンマルツァーノ3……4個=約300g(ダイス状にカット。あらかじめ皮を湯むきしておくとなおいい)
    • とうがらし カイエンヌ……1、にんにく……1片
    • ベシャメルソース(小麦粉大さじ3、バター60g、牛乳540mL、ナツメグ、塩、こしょう)
    • パルミッジャーノ(粉チーズ)……適量
    • パセリ(みじん切り)……適量
    • パン粉(なくてもいい)……適量

    手順 Préparation / Cuisson

    1. ラザーニェを打つ
    2. 鍋に種を抜いたカイエンヌ、刻んだにんにく、オリーブオイルを入れて弱火で香りが立つまで熱する
    3. カーヴォロネーロ、トマトを加え、中火〜強火で炒める
    4. カーヴォロネーロに火がとおり、ソースが煮詰まるまで加熱する
    5. 塩こしょうで調味
    6. ベシャメルソースを用意する。鍋でバターを熱し溶かして小麦粉を加え、よく混ぜる。火からおろして混ぜながら牛乳を少しずつ加え、完全に溶かす。弱火にかけ、常に混ぜながらとろみがつき沸騰寸前になるまで加熱する。火を止めて塩、こしょう、すりおろしたナツメグを加える
    7. ラザーニェを茹でる
    8. 底面積の広いグラタン皿の底にオリーブオイル(分量外)を薄くのばし、ラザーニャ1枚を敷く
    9. トマトソース、ラザーニャ、ベシャメルソースの順で層に重ねる
    10. パン粉、すりおろしたパルミッジャーノを振る
    11. 250℃に熱したオーブンで10分間、こんがり焼き色がつくまで焼く
    12. パセリのみじん切りを散らす

     

    限界まで材料の種類を減らしているので、素材勝負の料理です。主にパスタにする小麦粉とカーヴォロネーロ、トマトの質で決まります。

    Lasagne con cavolo nero al forno@2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    Lasagne con cavolo nero al forno@2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    カーヴォロネーロの中肋を取り除く©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    カーヴォロネーロの中肋を取り除く©2023 lespoucesverts Manabu GOTO

    カーヴォロネーロの中肋は指2本で葉を両側から押さえながら中肋を引き抜くようにすると簡単に取り除けます

  • カーヴォロネーロのパッパルデッレ

    Pappardelle al cavolo nero

    Pappardelle al cavolo nero@2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    Pappardelle al cavolo nero@2023 lespoucesverts Manabu GOTO

    幅広の玉子入り手打ちパスタ、パッパルデッレに「クロスティーニ用カーヴォロネーロ」をソースとして合わせます。食べ応えのあるパッパルデッレと濃厚な風味のカーヴォロネーロの組み合わせに、夕食でもこの一皿で完結できる満足感です。思わず自画自賛してしまうおいしさです。

    材料 Ingrédients

    (3人分 pour 3 pers.)

    • カーヴォロネーロ cavolo nero (chou palmier)……500g
    • トマト サンマルツァーノ3(フレッシュ)……200g
    • アンチョビ(オイル漬け缶詰) anchois (petite boite)……1
    • カイエンヌ piments de Cayenne……1
    • にんにく ail……1片
    • オリーブオイル、塩、こしょう
    • パッパルデッレ(小麦粉=鳥越製粉ドヌール200g、全卵45〜50g x 2、塩適量)

    作業 Préparation et cuisson

    1. パッパルデッレを用意する。参考  https://www.fattoincasadabenedetta.it/ricetta/pappardelle/
    2. カーヴォロネーロは中肋を取り除き(指で中肋をしごくようにして葉をこそぎとると簡単)、千切りか粗みじん切りにする。トマトはダイス状にカットする。
    3. フライパンにオリーブオイル、スライスしたにんにく、種を取り除いたカイエンヌ、アンチョビを入れ、弱火にかけて香りが立つまで加熱する。
    4. カーヴォロネーロとトマトを投入したら強火にかけてカーヴォロネーロに火が通るまで炒める。
    5. 塩、こしょう
    6. 茹で上がったパッパルデッレをフライパンに投入して混ぜあわせる。

    中肋を取り除くのがポイントです!

  • オーブントースターで焼く捏ねないカンパーニュ(ブール)

    Pain boule sans pétrissage

    野菜料理によく合う、プレーンでリーンな日々のパン。食べる前の焼き直し前提です。

    ブール©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    ブール©2023 lespoucesverts Manabu GOTO

    材料 Ingrédients

    作業 Préparation et cuisson

    1. 材料をすべてボウルに入れ、粉がなくなるまでカード(ヘラ)で混ぜる
    2. 蓋をして常温で30分放置(オートリーズ)
    3. カード(ヘラ)で折りたたむように10回混ぜ、最後に裏返す(パンチ1回目)。蓋をして常温で30分放置
    4. 同じ作業をさらに2回繰り返す(パンチ計3回)。最後は蓋をして常温で1時間放置(発酵)
    5. φ18cmのボウル2つに布を被せ、小麦粉(分量外)を茶漉しなどを使って均等にたっぷり振る
    6. パン生地の上から茶漉しなどを使って小麦粉(分量外)を振る。とくに周縁部はしっかり振りかけること
    7. まな板に茶漉しなどを使って小麦粉(分量外)を振る(打ち粉)
    8. 生地の周囲からカードを差し込んで一周させてから生地の入ったボウルをまな板の上に裏返す。そのまま少し待つと生地が自重でボウルから離れ落ちる。
    9. 生地を2分割する。この配合の場合は425gくらいずつ。細かく切らないでだいたいで満足すること。
    10. 生地の端を持ってのばすようにし、縦横3回ずつ折りたたむ
    11. 最後のとじ目にむかって生地を張るように丸めこむ。
    12. とじ目を上にして布をかぶせたボウル18cmに入れる
    13. クッキングシート(オーブンペーパー)をかぶせ、蓋をする
    14. 常温で30分放置(発酵)
    15. オーブンを250℃に余熱(10分)
    16. 蓋をしたままボウルを裏返し、安定したところにあける。ボウルと布を取り除く。適宜クープ(切れ込み)を入れる
    17. オーブンに入れ、250℃8分焼く。アルミホイルをかぶせ、さらに17分焼く

     

    パンの膨らみ方は温度と時間の関係がポイント。上の数字は外気温2024℃の場合。

    成形後の発酵時間が短めだと高さ(ボリューム)が出やすい。

    高温で焼成することで高さ(ボリューム)を出している。この方法だと必然的に最初に焼き色をつけることになる。過熱水蒸気が使えるオーブンなら手順を逆にして、よりきれいにクープ(切れ目)が開くよう焼成できるかも。

    翌々日までに食べ切る。

    Point! 食べる直前に切り分けて、200℃のオーブンで8〜10分、クルート(クラスト)の焼き色が弱いところを上にして焼き直す(ここでようやく完成)。

    パン作りの素人が自家用にほぼ毎日焼いているだけのものなので、より本格的なものを目指すなら別サイトや動画、書籍、学校などで学ぶのがいいでしょう

    レシピが同じでも環境(とくに作業と発酵の際の温度・湿度、オーブンの違い)によって結果が異なります。試行錯誤を繰り返して「この材料、レシピ、道具を使ってこのくらいまで膨らんだらこういう結果になる」という目安を経験的につかむのがパンづくりで一番大切なことだと思います。

     

    塩5g©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    塩5g©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    鳥越製粉ドヌール500g©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    鳥越製粉ドヌール500g©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    サフ・ドライイースト(赤)©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    サフ・ドライイースト(赤)©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    モルトエキスパウダー1g©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    モルトエキスパウダー1g©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    計量した水の一部でモルトエキスパウダーを溶く©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    計量した水の一部でモルトエキスパウダーを溶く©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    塩、小麦粉、ドライイーストを混ぜあわせる©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    塩、小麦粉、ドライイーストを混ぜあわせる©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    水と溶いたモルトエキスパウダーを投入、混ぜ合わせる©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    水と溶いたモルトエキスパウダーを投入、混ぜ合わせる©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    カード(ヘラ)を使って混ぜ合わせる©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    カード(ヘラ)を使って混ぜ合わせる©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    粉がなくなるまで混ぜたら完了©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    粉がなくなるまで混ぜたら完了©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    蓋をして30分放置©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    蓋をして30分放置©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    30分経過後©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    30分経過後©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    パンチ1回目。底から生地を持ち上げて折り畳むように10回©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    パンチ1回目。底から生地を持ち上げて折り畳むように10回©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    パンチの最後に全体を裏返す。30分放置©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    パンチの最後に全体を裏返す。30分放置©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    パンチ3回目直前©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    パンチ3回目直前©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    パンチ3回目完了©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    パンチ3回目完了©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    1時間発酵させた生地©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    1時間発酵させた生地©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    ボウルに布をかぶせ、小麦粉を振る©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    ボウルに布をかぶせ、小麦粉を振る©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    生地に粉を振り、周縁にカードを差し込んで離れやすいようにする©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    生地に粉を振り、周縁にカードを差し込んで離れやすいようにする©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    作業台の上でボウルを裏返し生地を取り出す(自重で落ちる)©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    作業台の上でボウルを裏返し生地を取り出す(自重で落ちる)©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    生地を2分割©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    生地を2分割©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    生地の下面(打ち粉した面)に手を入れてなんとなく四角形にのばす©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    生地の下面(打ち粉した面)に手を入れてなんとなく四角形にのばす©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    三つ折りにする©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    三つ折りにする©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    さらに三つ折りにしてとじ目を下にする©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    さらに三つ折りにしてとじ目を下にする©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    生地を張るように整形したらとじ目を上にして布をのせたボウルに入れる©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    生地を張るように整形したらとじ目を上にして布をのせたボウルに入れる©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    オーブンペーパー、蓋をして30分放置(発酵)©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    オーブンペーパー、蓋をして30分放置(発酵)©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    クープ(切れ込み)を入れる©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    クープ(切れ込み)を入れる©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    余熱したオーブンで250℃8分焼成、アルミホイルをかぶせてさらに17分©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    余熱したオーブンで250℃8分焼成、アルミホイルをかぶせてさらに17分©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    焼きあがったブール、半分にカットしてあるのは前々日に焼いたもの©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    焼きあがったブール、半分にカットしてあるのは前々日に焼いたもの©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
  • チーメディラーパ(1〜3月)

    Cime di rapa

    とてもおいしい 、イタリアの菜の花

    cime di rapa©2011 Manabu GOTO
    cime di rapa©2011 Manabu GOTO
    • fr: fanes de navet
    • it: cime di rapa, broccoletti
    • en: broccoli raab, turnip top
    • nom binominal: brassica rapa esculenta
    • jp: チーメディラーパ、チーマ・ディ・ラパ

    オレッキエッテ・コン・チーメディラーパで世界的に知られるイタリア・プーリア州の地方野菜。日本では「チーメ」「チーマ」両方のカタカナ書きがありますが、同じ単語の単数形・複数形というだけで、同じことです。あえていうなら、植物としては単数形、食材としては複数形が一般的です。

    季節や収穫形態、地方野菜としての位置づけなど、北関東の「かき菜」や武蔵野の「のらぼう菜」、東北の「三陸つぼみ菜」に似たところがあります(ただしこれらはbrassica napus)。

    もともと地方野菜なのでバリエーションが多く、品種名として40、60、90、120の数字が付されたものとその派生系があります。これらの数字は標準生育日数を意味しています。花芽分化する(花蕾の形成がはじまる)気温がそれぞれ異なります。

    日本で販売されている種子は早生種が中心です。ごとう菜園が営農している倉渕は冬、極端に冷え込むので耐寒性があってとてもおいしい 120を蒔いています(一般的に野菜は晩生品種のほうがおいしい)。

    料理素材としてのポテンシャルがきわめて高く、イタリアン・フレンチで真価を発揮します。1980年代にアメリカ経由で日本やフランスで一気に普及したブロッコリ(brassica oleracea)とは比較にならないほどのおいしさです。

    出荷期間は2024年1月〜3月を予定しています。

    semences de cime di rapa 120©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    semences de cime di rapa 120©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    germes de cime di rapa 120©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    germes de cime di rapa 120©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    cime di rapa©2011 Manabu GOTO
    cime di rapa©2011 Manabu GOTO
    cime di rapa©2011 Manabu GOTO
    cime di rapa©2011 Manabu GOTO
    cime di rapa©2011 Manabu GOTO
    cime di rapa©2011 Manabu GOTO
    cime di rapa©2011 Manabu GOTO
    cime di rapa©2011 Manabu GOTO
  • ミニマルキュイジーヌあるいは素材のミニマリズム

    Cuisine minimaliste, ou Ingrédients minimalistes

    玉ねぎとマヨネーズのトースト©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    玉ねぎとマヨネーズのトースト©2023 lespoucesverts Manabu GOTO

    インスタなどで使うハッシュタグを考えていて思いついた表現。というか#cuisineminimalisteはすでにそこそこ使われている。僕が発明したわけでもなんでもない。いっぽう、日本語の#ミニマルキュイジーヌはいまのところ僕しか使っていないみたいだ。

    フランス語のcuisine minimalisteという表現はなんとなくマリネッティの「未来派料理」cucina futurista (cuisine futuriste)を連想させるかもしれない。もっとも、あれはパスタ排斥=伝統的食文化の否定であり、ひとつの完全栄養食品を理想形とするトンデモだったわけで、20世紀初頭という「時代のあだ花」みたいなものと僕は思っている。

    ミニマルというカタカナ語をきちんと日本語にすれば「最小限の(単純な)」くらいになるだろうか。「ミニマルな暮らし」とか「ミニマルな生き方」「ミニマルライフ」が流行ってるみたいだからその流れでミニマルキュイジーヌも受け入れられるといいなあと思っている。

    ただ、料理をいうからには「おいしい」が絶対条件だと思うから、僕はあえて「キュイジーヌ」というカタカナでちょっと気取った感じにしている。いや、本もあるくらいだから「ミニマル料理」でいいんですよ(その本は読んでないけど)。その表現が定着するのだっていいと思う。たんに僕の思っているもの、僕が日々作って食べてるものとちょっとニュアンスが違うかな、というだけのこと。

    だからキュイジーヌでも料理でもいいんだけど、ミニマルは素材の良さと調理する人の手際(技術)にすべてがかかってくる。都市生活者にとっては経済的にあんまりミニマルにはならないかも知れないが、素材にカネを惜しんではミニマルキュイジーヌはたんなる「手抜き料理」にしかならない。しかもたいていはおいしくない。おいしくないということはミニマルキュイジーヌとして失格だ。だから素材はとにかくいいものを使いたい。

    ミニマルキュイジーヌの真価は野菜(を大切にした)料理で発揮される。ここを惜しんではいけない。考えて見てほしい。野菜はどんなに高価なものでも、牛・豚・羊肉や鶏などと比べたらたかが知れてる。野菜生産者としてはとても残念なことだが、これをケチりたがるレストラン経営者や料理人さんは多い。そりゃ、肉・魚料理に「添える」ものだったらそういう発想になるのもわからなくはないけど、だったらいっそのこと野菜なんか添えなきゃいいのにというのが素朴な感想だ。

    なにしろ今の日本で、そのへんで簡単に入手できる野菜はたいていおいしくない。まずくはなくてもおいしくない。これは至極あたりまえのことで、野菜というのは芋類やかぼちゃといったでんぷん質主体のものをのぞくと、新鮮であればあるほどおいしいからだ。一般的に知られているレベルでいうと、たとえばほうれんそう。生産者が朝収穫する。当日に調製(根を切ったり傷んだ葉を取り除いて計量、袋詰め、箱詰めする)すると農協あるいは出荷場には翌朝となるパターンは多い。出荷後に卸売市場に運ばれて1日。卸売市場で販売されるのは翌朝。そこで仲卸、八百屋、スーパーなどが仕入れて小売されることになる。だいたい2〜3日。これは最短のケース。卸売市場での販売価格は需給関係で日々変わるから出荷調整といって農協などで1・2日保管されることもある。さらに、卸売市場から仲卸、八百屋、スーパーなど小売業者が仕入れたものが一般の人々の手元に届くわけだが、ここでも最短は当日、売れなければ商品がダメになるまで在庫させて売り場に並ぶか八百屋やスーパーのバックヤードの冷蔵庫に居座る。だから長ければ収穫から1週間経って売られているものはざらにある。

    もうひとつ、「安全・安心」をうたう自然派の食材流通業者の場合だと、出荷されてからピッキング場に集められてそこで仕分け、箱詰めされて出荷されることが多いみたいだ。宅配食材の業者だけでなく、大手ハンバーガーチェーンや外食チェーンに納めてる八百屋さんもピッキング場を構えている。だいたいは定温庫か保冷庫になってるらしいから、そこでそれなりの時間を野菜が過ごしているであろうことはことは想像に難くない。

    もうひとつ、野菜というのは収穫してから間にはいる人間が少ないほどいい。時間とか移動距離みたいに客観的な数字で表せないけれど、どういうわけか経験的にそうみたい。多分、流通過程でなんらかの形で人の手に触れるわけだが、野菜の扱いは一律でいいということなんてなく、品目や季節、産地そして個々の品物それ自体によって気を使うべきところがそれぞれ違う。そこまでの知識、技能を持った人だけがやってる仕事?

    そりゃ、野菜をおいしくないと感じる人が多いわけだ。

    ミニマルキュイジーヌの理想を追いもとめるなら、家庭菜園なりで自分で食材をつくり、自分で調理して自分(とごく近しい人)だけで味わうのがいい。

    そう、僕が言ってるミニマルキュイジーヌというのは食を自分の手に取り戻すことに繋がる。食べるということ、食欲は個としての人間存在の根源にかかわる。そういう意味で、自分自身を自分の手に取り戻すことにつながるとつながると言ってもいいだろう。

    あと、現代日本では多くの人においてアミノ酸、脂質について味覚の感受性が鈍くなってる(マヒしてる)ようだから、これらをリセットするのをお勧めしたい。とりわけアミノ酸は注意が必要で、食品の原材料表示の「調味料(アミノ酸等)」だけじゃなく「たん白加水分解物」と「酵母エキス」も気をつけたほうがいい。これらは名称こそ違うけど本質的には同じものと言っていい。

    おまけ

    画像は玉ねぎとマヨネーズのトースト。使った玉ねぎは泉州という品種。パンは鳥越製粉ドヌールといわゆる赤サフを用い、加水率70%で焼いた自家製(翌日使用)。マヨネーズはキユーピー。オーブントースターで200℃、11分。今年は植えたのが遅くて大きくならなかった玉ねぎだが、味わいはとてもいい。コンビニにありそうな惣菜パンだけど、パンと玉ねぎの違いで大きく変わる。いろいろ試してみると面白いかも。

    玉ねぎとマヨネーズのトースト(プロセス1)©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    玉ねぎとマヨネーズのトースト(プロセス1)©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    玉ねぎとマヨネーズのトースト(プロセス2)©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    玉ねぎとマヨネーズのトースト(プロセス2)©2023 lespoucesverts Manabu GOTO

     

     

    ©2023 lespoucesverts Manabu GOTO

     

  • クロスティーニ用カーヴォロネーロまたはサヴォイキャベツの外葉

    Chou palmier ou feuilles extérieures de chou vert pour crostini

    10分でできるお手軽ミニマルキュイジーヌ!

    Cuisine minimaliste. 10 minutes de préparation – cuisson !

    crostini aux feuilles extérieures de chou vert@2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    crostini aux feuilles extérieures de chou vert@2023 lespoucesverts Manabu GOTO

    材料(2人分)

    • カーヴォロネーロ……5枚(またはきれいで新鮮なサヴォイキャベツの外葉2枚)
    • トマト・サンマルツァーノ3……1個(またはミニトマト5個)
    • とうがらし カイエンヌ(フレッシュ)……1
    • 紫にんにく……1
    • アンチョビペースト
    • オリーブオイル、塩、こしょう

    作り方

    1. カーヴォロネーロは洗ってコット(中肋)を取り除き、細かく刻む。
    2. トマトは適当な大きさに切る。皮はむかない。
    3. カイエンヌは半割りにして包丁の先で中の種子とわたを取り除く。
    4. にんにく(みじん切り、薄切り、叩いただけ、どれでもいい)とカイエンヌ、たっぷりのオリーブオイルをフライパンで香りが出るまで弱火で熱する。
    5. カーロヴォネーロとトマト、塩適量、アンチョビペースト適量をフライパンに投入し、強火で野菜から出た水気がほぼなくなるまで炒める。
    6. こしょう。
    7. パンにのせていただく

     

    コット(中肋)を取り除くのが大事なポイント!

    サヴォイキャベツの外葉は結球部分に栄養を取られてしまうものです。収穫してから時間の経ったものはおいしくなくなっているはずです。キャベツにしろレタスにしろ結球野菜というのは本質的にそういうものなので一般的に外葉は使われずに廃棄されるわけです。とはいえ採りたてなら調理次第でとてもおいしくできます。

  • ミニポワロー(2023年11月から)

    mini-poireaux©2010 Manabu GOTO
    mini-poireaux©2010 Manabu GOTO
    • フランス語名 mini-poireaux, jeunes poireaux, poireaux crayons
    • 英語名 mini-leeks
    • 学名 Allium ampeloprasum
    • 日本での別名 ポワロジューヌ ポワロジェンヌ

    画像は2010年のものです。2023年11月出荷再開予定。

    古代ローマ時代から愛されてきたポワロー(ポロ葱)を直径約1cm、軟白部の長さ15cm以上で仕立てました。もともとはポワローの苗をジュヌポワロー(若いポワロー)といって定植せずに食材としたのが始まりと言われています。「貧者のアスパラガス」asperges du pauvre とも呼ばれました(アスパラガスも古代ローマ時代からとても好まれてきた野菜です)。

    ごとう菜園のミニポワロー は「苗」ではなく文字どおりミニサイズのポワローです。太さ約1cm、白み(軟白部 fût blanc)15cm以上(実際には18cmくらい)、軸(fût)の全長20cm以上で仕上げています。文献調査と試行錯誤を重ねて、とても労力と手間がかかるけれど確実な独自の栽培方法を確立しました。すべて手作業のアルティザナルな栽培方法です。このサイズで白みの長い高品質のミニポワロー は他のどこにも存在しないと思います。ポワローは生育がとても遅く、ミニポワロー の場合でも種まきから育苗2ヶ月以上、定植後3ヶ月以上、合計5ヶ月以上かかります。以上の理由からとても高コストです。

    「貧者のアスパラガス」とはとても呼べない真逆の、まさしくガストロノミーのための究極のガストロノミックな食材です。基本的にはブランシール(下茹で)してからアスパラガスと同様に調理します。ポワローは水分が比較的少ない野菜なので下ゆでせずにグリル焼きするのはお勧めできません。加熱調理時の優しく繊細な香りととろけるような甘い味わい、最高級の食材のひとつとして自信をもってご提案します。

    2013年ごろまで築地市場に出荷し、日本を代表する有名ホテルのダイニングなどでお使いいただいたり料理雑誌に掲載されるなどとても高い評価をいただいていましたが、思うところあって封印していました。この秋(2023年11月)から産直販売で再開します。少量生産のためご興味のある方は早めにご連絡ください(インスタ、メッセンジャーでもOKです)。

    ※お問い合わせ内容によってはお答えしかねる場合もあります。あらかじめご了承ください。

    ミニポワロー お問い合わせフォーム(#9)

  • サンマルツァーノ3のオーブン焼き

    Pomodoro San Marzano 3 fresco al forno

    手軽でおいしい適当レシピ

    Pomodoro San Marzano 3 al forno©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    Pomodoro San Marzano 3 al forno©2023 lespoucesverts Manabu GOTO

     

    材料

    • トマト サンマルツァーノ3
    • とうがらし カイエンヌ(フレッシュ)
    • 紫にんにく(みじん切り)
    • パン粉
    • パルミッジャーノ(すりおろし)
    • パセリ(みじん切り)
    • Exバージンオリーブオイル
    • 塩・こしょう

     

    作り方

    1. トマトは洗って半割りにする。へた近くの白く固い部分はなるべく取り除く
    2. カイエンヌは半割りにして中の種子とわたを取り除く(辛いのが好みなら種子を取り除いてから小口切りにし、3に混ぜ込んでもいい)
    3. にんにく1、パン粉1、パルミッジャーノ1、パセリのみじん切り3、オリーブオイル2くらいの割合で混ぜ合わせ、耐熱皿に切り口を上にして並べたトマトにのせる
    4. 230℃のオーブンで約15分、トマトにしっかり火が入り、同時にトマトの上の3がこんがり色づくように焼く
    5. 塩、こしょう
    Pomodoro San Marzano 3 al forno©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    Pomodoro San Marzano 3 al forno©2023 lespoucesverts Manabu GOTO

     

    焼きあがったトマトをフォークでつぶして、茹で上げたパスタのソースにしても美味です。

    Spaghetti con pomodoro al forno©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    Spaghetti con pomodoro al forno©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
  • トマト プリンチペ・ボルゲーゼのスパゲッティ

    Spaghetti al pomodorino Principe Borghese fresco

    サンマルツァーノ3のスパゲッティとまったく同じ手順なのでレシピをあらためて書く必要もないくらいですが、火加減と加熱時間を変えます。個人的にはこちらのほうが圧倒的においしいと思っています。手際よく仕上げるのがポイント。

    sugo di pomodorino Principe Borghese©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    sugo di pomodorino Principe Borghese©2023 lespoucesverts Manabu GOTO

    材料(2〜3人分)

    • トマト プリンチペ・ボルゲーゼ(フレッシュ)……6個(200g弱)
    • とうがらし カイエンヌ(フレッシュまたは乾燥)……1
    • 紫にんにく……1かけ
    • Exバージンオリーブオイル……適量
    • イタリアンパセリ……適量
    • 塩・こしょう
    • スパゲッティ(またはスパゲッティーニ)……250g

     

    手順

    1. プリンチペ・ボルゲーゼは洗って四つ割りに切る
    2. カイエンヌは縦半分に切って中の種子とわたを取り除く
    3. にんにくは薄切りにする
    4. フライパンにオリーブオイル、カイエンヌ、にんにくを入れ、ごく弱火にかける
    5. 香りがたってきたらカイエンヌを取り出す
    6. プリンチペ・ボルゲーゼを投入し強火にする
    7. 煮詰まって水分がなくなってしまわないよう火加減を注意し、木へらでトマトを潰しながら約7分間加熱する
    8. 塩・こしょう
    9. スパゲッティの茹で汁大さじ2を加えて混ぜ、茹でたてのスパゲッティを投入して手早くソテーする
    10. 皿に盛り、イタリアンパセリを散らす
    Spaghetti al pomodorino Principe Borghese fresco©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    Spaghetti al pomodorino Principe Borghese fresco©2023 lespoucesverts Manabu GOTO

    フレッシュなプリンチペ・ボルゲーゼはサンマルツァーノ系より水分が多いので強火で加熱します。

    パセリではなくバジルを散らしてもいいでしょう。

    サンマルツァーノ系統のトマトを使う場合よりも素材の良し悪しと手際のよさがはっきり仕上がりに反映されます。

    ©2023 lespoucesverts ManabuGOTO

  • トマト プリンチペ・ボルゲーゼ

    ごとう菜園のとっておき極上トマトです。

    pomodorino Principe Borghese©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    pomodorino Principe Borghese©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    • イタリア語名 pomodorino Principe Borghese
    • フランス語名 tomate Principe Borghese
    • 英語名 tomate Principe Borghese
    • 学名 Solanum sect. Lycopersicon

    「ボルゲーゼ大公」の名を持つやや小ぶりの中玉トマトです。イタリア・ナポリ近郊の特産品ピエンノロDOPの使用品種のひとつに指定されています。ピエンノロはペンドロとも呼ばれ、真っ赤に熟した房を束ねて軒先に吊るし熟成させたもので、瓶詰めなどで輸入されています。

    この品種はさらにさらに非芯止まりタイプと芯止まりタイプの2つに分類されます。ごとう菜園のプリンチペ・ボルゲーゼは非芯止まりタイプです。20年以上前にイタリアの知人から譲り受けたものを自家採種で維持しています。1個約30g。

    表皮がしっかりしていてとても丈夫です。果肉はサンマルツァーノ系のように加熱時にするりと粉状に崩れはしませんが、加熱特性はとても高いです。最適なのはいったんセミドライに加工してから調理することです。アミノ酸含有量が多いため濃厚な味わいです。生食もできますがフルーツトマトのような甘さは期待しないでください。上述のように表皮が丈夫なため、「皮が固い」印象かもしれません。

    pomodorino Principe Borghese©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    pomodorino Principe Borghese©2023 lespoucesverts Manabu GOTO

    一般的なミニトマトと同様に子室が2つです。上の画像のように縦に軽く凹んだ線があるので、それと直角にカットするとゼリー部分が完全に露出します。線に沿って切ると壁が出てしまうのでセミドライにする際は注意したほうがいいでしょう。下の画像の右側が縦線に直角に切ったもの。左が縦線に沿って切ったものです。

    pomodorino Principe Borghese©2023 lespoucesverts Manabu GOTO
    pomodorino Principe Borghese©2023 lespoucesverts Manabu GOTO

    フレッシュを加熱調理する場合はサンマルツァー系と同様にしてください。とてもおいしく仕上がります。

    2023年は6株しか植えなかったので業務用単品のご提供はできません。こだわり野菜セットにお入れすることは可能なので決済の際に「注文メモ」でご指定ください。メッセンジャーなどであらかじめお尋ねくださると確実です。

    ※日本の気候では熟度を揃えて房どりすることが困難なため1個ずつバラして収穫しています。同じ理由からピエンノロのように吊るしで熟成させるのもほぼ不可能です。ただしトマトとしては比較的長期間常温保管可能です(過熟かなと思うくらいがむしろおいしいです)。

     

    レシピ

    プリンチペ・ボルゲーゼ(フレッシュ)のスパゲッティ

     

    CAPRESE VESUVIO, RICETTE POMODORINI DEL PIENNOLO (イタリア語)