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プラティナは同時代人と比べてかなりまともな味覚の持ち主だったようだ1。香辛料の使用は適度であり、どんなに複雑なソースでも使うのは生姜とシナモン程度だ。レモンやオレンジの絞り汁、あるいはクローヴしか使わないこともある。この本に出ているモルタデッラ2はそこそこ美味しいだろう。「猟獣肉用ポワヴラード3」もさほど手を加えないでそのまま提供できそうだ。作者は「ローリエの葉でくるんで4串に刺した小鳥のローストに粉砂糖を振りかけたもの」を好む。だが、雀はまったく好まない。「雀は食べるには大きくて不味いし、消化に時間もかかる。なにより邪淫5を引き起こす」。シャルドヌレ6は雀よりもっと好まない。「食べ物として皿にのせるよりも、籠に入れて甘美な鳴き声を楽しんだ方がいいからだ」。また、カタローニャの料理を高く評価している。「彼らの料理に国民性がはっきり表れているから」だ。カタローニャの鶏のミローズ7や山うずらのソース添えなどはとても美味だと述べる。フランス語翻訳者は「我々フランス人はカタローニャをどんなに嫌っていてもこの料理を喜んで食べる。フランス人はカタローニャの料理は好きだが、カタローニャ民族は嫌いなのだ」と書き加えている。さて、海豚は中世に好んで用いられた食材で、マニーニというイタリア人が書いたレシピがある。プラティナの訳者デディエ・クリストルがそのレシピを再録し、とても面白い論考を加えている。