39. ひばりのラグゥ仕立て Alouettes en ragoût

ひばりは掃除をし、砂肝を取り除く。胸肉のあたりを軽く潰す。小麦粉をまぶし、鍋に背脂を熱して焼く。充分に焼き色が付いたら弱火で煮込む。ケイパーとマッシュルームを加え、味付けをする。レモンの外皮を削ったもの、またはレモン汁かオレンジ、ブーケガルニを加えてもいい。浮いてくる余分な脂を取り除き、適宜ガルニチュールを添える。
Etant habillées ôtez leur le gésier et leur écrasez un peu l’estomac, les farinez et passez avec du lard: étant bien rousses faites les mitonner, et assaisonnez de câpres et de champignons. Vous y pouvez mettre écorce de citron ou jus, ou orange, ou un bouquet. Dégraissez les et servez avec ce que vous aurez à servir.

ひばりは一般には alouette (アルゥエット)、とりわけ脂ののったものは mauviette (モヴィエット)と呼ばれる。ちなみに、薄切りにした肉や魚のフィレでファルスなどを円筒状に巻いたポピエットは別名 alouette sans tête (アルゥエット・サン・テット 頭のないひばり、あるいは oiseau sans tête オワゾー・サン・テット 頭のない鳥) とも呼ばれる。こんなことを書くと、「何故そう呼ぶのか」と訊かれることもしばしばなので、この文の主旨から外れるが、19世紀にベストセラーをなったオドの料理書から挿絵を引用しておく。

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小鳥類のローストの図。一羽ずつ背脂のシートで包み、まとめて串に縛り付けている。この図で、小鳥の頭を落とした様子を想像すればいいだろう。繰り返すが、この図は19世紀の料理書のもので、この投稿の主旨からは外れるので注意。

さて、このレシピのポイントは原文 étant bien rousses。「充分に焼き色が付いたら」と訳したが、rousses (roux) は本来「赤褐色」という意味だ。そこから「焦げた色」という用法になる。ラ・ヴァレーヌでは、肉類の表面を焼くのは passer par la poêle あるいは fricasser (フリカセ)を使うことが多い。fricasser はしばしば「こんがり焼く」つまり dorer (ドレ)と同義に解釈されるが、むしろ「強火で焼く」と捉えたほうがいいくらいだ。前者 passer par la poêle にいたっては、「フライパンにかける」程度の意味しかなく、焼き色については何も言っていないに等しい。だから、rousses (roux 赤褐色に、充分な焼き色に)と指定してあることは注目に値するだろう。

ちなみに、この roux という言葉は後の、小麦粉を油脂で時間をかけて炒めて作る「ルゥ」の語源だ。

なお、このレシピでも「充分に焼き色が付いたら」と「弱火で煮込む」の間に「煮込み用の鍋に移してブイヨンを注ぐ」という表現が欠落している。