「専門料理」連載「エスコフィエを読む」2013年10月号「ガランティーヌ」の補足記事です.
『ル・ギード・キュリネール』の「冷製」FROID の章(原書pp.697-714)は,今回の「ガランティーヌ」と,次号予告に出ております「パテとテリーヌ」(pp.697-704),「サラダ」(pp.705-714)で構成されています.ガランティーヌとパテとテリーヌを合わせてわずか8ページなんです.ガランティーヌについては,今回右ページに訳出したものと,左ページ上の表だけ.これで全部です.
パテとテリーヌもそうですけど,ガランティーヌって現代でもそれなりに作られますよね.というか,冷製料理は他にもいろいろある筈なのに,これだけ? って思っちゃいますよね.いえいえ,ちゃんと素材別のページに出てるんですよ.ブフ・アラモード冷製とかベカスのサルミ冷製とか…
実際のところ,初版では「冷製」はそれなりの分量(pp.579-630)があったんです.それが第二版でほぼ現状の,ガランティーヌ,パテ,テリーヌとサラダだけ残って,それ以外は素材別のページに移動しちゃったんです.
だから目次だけ見て,「あんまり冷製料理が出てないじゃん」って判断しちゃいけないわけです.
とはいえ,ガランティーヌの素材を家禽,猟鳥に限定しちゃっているのは時代性なんでしょう.『ル・ギード・キュリネール』より少し後の『ラルース・ガストロノミーク』初版(1938年)でも「肥鶏のガランティーヌ」の詳細なルセット2つの他は「おまけ」のように「うなぎのガランティーヌ」が出ているだけです.本来なら仔牛,仔豚,うさぎ等の素材でもガランティーヌは作りますからねぇ.現代のガランティーヌの直接的な原形のもっとも古いもののひとつは17世紀マシアロの「乳呑み仔豚のガランティーヌ仕立て」ですしね.